大学の教員として学生さんたちに対応しているうちに、いつのまにかコーチングのようなことをしていることに気がつくようになりました。当時、自分はそれを「(教員が教えられる)スタディ・スキルと(臨床心理士が担当する)カウンセリングの間にある領域」として捉えていました。今でもこの捉え方はあながち的外れではないと思っています。

それ以来、15年ほど経っていると思いますが、いろいろ学んできたものが僕が提供するコーチングの基礎になっています。コーチングにもいろいろな考え方や流れがあるので、自分のコーチがどんな考えを背景にやっているのかを知っておくほうがよいと思います。

僕が提供するコーチングは下記のいろいろな流れの、言ってみればハイブリッドです。どれかこれひとつというのは自分に合っていない性分みたいで、あれこれ手を出すたちです。そんなやり方のほうが合っている人もいると思います。

★シャザド・チャミン (Shinzad Chamine)のPositive Intelligence

 チャミンがこの本で示してくれたものがいちばん自分にしっくりきています。ラッキーなことに、2018年にチャミンが提供するオンラインプログラムに参加することができました。6週間の集中プログラムのあと、継続プログラムを続けています。下記のサイトで概要がわかります。自分の現状についての簡単なアセスメントも受けられます(日本語あり)。

心や感情と理論、右脳と左脳、イマジネーションと科学的根拠などのバランスがとれているチャミンのPositive Intelligenceは、自分にいちばんしっくりくるコーチングの枠組みです。

Positive Intelligence
シャザド・チャミン『スタンフォード大学の超人気講座 実力を100%発揮する方法―――ポジティブ心理学が教えるこころのトレーニング』

★鈴木義幸さんの著書

  学生さん対応がいつの間にかコーチングになっていると気づいてから、独学し出した頃、一番影響を受けたのが鈴木義幸さん(現コーチ・エイ代表取締役社長)の本でした。

鈴木義幸さんの著書

★CTI Japanのコー・アクティブコーチング(Co-Active Coaching)

 我流でやっているのはとても心許なかったので、2017年から2018年にかけて、CTIジャパンの基礎コースから応用コースまでを受けました。心や感情、イメージの世界を最大限活用するCTIのコー・アクティブ・コーチングは、自分が遠ざけてきた要素をたくさん含んでいました。でも、だからこそ、自分の変化につながりました。一時期CTIにもいたチャミンのプログラムがとても有効に自分に響いたのも、CTI Japanの訓練を受けていたからだと思っています。

CTIジャパン
H. キムジーハウスら『コーチング・バイブル―本質的な変化を呼び起こすコミュニケーション』
CTIジャパンら『マンガでやさしくわかるコーチング』

★NPOムラのミライのメタ・ファシリテーション

  途上国国際協力の草分けとも言えるムラのミライの和田さん、中田さんのコンビが世に送り出したメタ・ファシリテーションは、シンプルな事実質問を積み重ねる対話法です。対等な関係のもとでの問いかけを中心にして、相手自身が自分の問題や必要なことに気づいていくことを目指すのは、CTIのコーチングが目指しているものととても似ています。しかし、そこに至ろうとする問いかけの質はまったく異なります。メタ・ファシリテーションでは心に立ち入る問いかけをすることはなく、あくまで過去の経験を中心とした事実だけを聞いていきます。両者のコントラストが自分にはとても興味深いです。どちらにも利点があるので、両者をうまく使い合わせできるコーチングを目指したいと思っています。現在、メタファシリテーション講座のステップ3まで終えて練習を積み重ねているところです。

ムラのミライ「メタファシリテーションと(対話型ファシリテーション)とは」

★Mel Robbinsの5秒カウントダウン

  本人も言っているのですが、まったくバカみたいなメソッドです。バカみたいなのですが、極めて強力です。Mel Robbins自身のパワフルさに、彼女の綿密なリサーチによる科学的な根拠が加わって、とっても説得力あるストーリーになっています。驚くほどチャミンのPositive Intelligenceと合わせやすいツールができあがっています。

Mel Robbins

★ Timothy Gallweyのインナーゲーム

 順番から言うと、上記のどれよりもガルウェイの『インナーゲーム』に出会ったのが早かったです。趣味のテニス関連で知人から紹介されました。90年代半ばのことだったと思います。

 それから20年近く経って、チャミンのPositive Intelligenceを学んでいるあるとき、ふと、チャミンが言う妨害者と賢者の関係が、インナーゲームで言うセルフ1とセルフ2の関係と同じだと気づきました。最初に読んだ時点でも、「これはテニスやスポーツに限らずあてはまる話だ」と感じていました。

 「良い悪い」の評価をくだすセルフ1を静かにさせ、ただ起きていることをそのままに捉え、セルフ2がもつイメージを信じてアクションをとる。

 このことのもつ深い意味を知ることで、改めてインナーゲームを意識し直すことになりました。

W. T. ガルウェイ『新インナーゲーム』

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